【指導案2】「2つの円」

教育工学の全国大会で使ったものです。教育工学ということで,パソコンが中心になっての展開になっています。数学の指導案としては,やや物足りないかもしれませんが参考になると思います。

★学習プリントはこちら。    ★そのとき作ったソフトはこちら。


           第3学年□組数学科学習指導案
                                       指導者 福岡市立○○中学校
                                        教諭 藤井 △△
1 単元 「円の性質」                          

2 指導観
○ 円は平面図形の直線とともに基本図形の1つであり,古代では,生活にかかすことのできない土器や鏡などに,この形が使われていた。現在でも,運動場のトラックなどさまぎまな物に円を使っている。また高速道路上でのカーブの半径の表示等に円を利用したものもある。
小学校で,円のかきかたや円周率を用いて円周の長さや面積を求めることを学習している。中学校第1学年では,円の性質を利用して,おうぎ形の弧の長さや面積の求め方や作図をおこなっており,2学年では,円を調べることの基礎となる垂直二等分線の性質や二等辺三角形の性質を学習している。
 本単元では円と直線,円と接線,2つの円の関係等の円の性質を学習していく。このことは,図形をいろいろな観点から分類する上で必要であり,図形の新しい性質を発見する際や図形を直感的に考える際に必要な論理的な考察力を養う点においては,欠かすことのできないものである。ここでは,図形を考える上で基本となる円の性質を理解させることねらいとする。
○ 本学級の生徒は,方程式等の計算問題は解けるようになってきているが,図形の学習では,論証・抽象的な思考を必要とするためか,得意とする生徒は多くない。特に2学年での図形の証明から,「図形は苦手」「図形は難しい」という意識が強く,生徒同士の意見交換もあまり見られない。
 生徒は昨年から,コンピュータを活用した授業をうけている。その中で,「一次関数の利用」の面積の問題で,シミュレーション型学習ソフトを利用することにより,生徒は理解を深め,学習意欲が高まることがわかった。また,パソコン機器を使っての各単元の復習では,大変強い興味を持ち,日常の学習にも活気がみられるようになった。
以上の点から,本単元において,主体的学習活動を支援するために,パソコンを活用していきたい。
○ 本単元の指導にあたっては,論証・抽象的な思考を手助けするために,既習内容を個々に応じ授業の中に取り入れる。さらに,パソコンのシミュレーション型学督ソフトを活用し,視覚的に学習内容を押さえ,生徒が興味・関心を持ち,主体的な学習活動ができるように指導していきたい。また段階的に理解できるように,学習プリントやドリル型学習ソフトを併用して学習の定着を図る。

3 目標
(1)円と直線の位置関係から円と接線,円と弦の性質を調べ,理解する。
(2)三角形の内接円,外接円についての性貴を理解する。
(3)接線の性貫を利用して,三角形の内接円,外接円が作図できるようになる。
(4)2つの円の位置関係を半径の長さと中心間の距離によって類別できることを知る。
(5)2つの円の位置関係により,共通接線の数が変化することを理解する。   
(6)パソコンの操作を通して,主体的な学習態度を養う。

4 計画(6時間)
    (1)円と直線・・・1
    (2)円と接線・・・2
    (3)2円の位置関係・・・1(本時)
    (4)共通接線・・・・1
    (5)練習問題・・・1

5 本時  平成○年△月□日〈金)第6時限 於パソコン教室

6 本時の指導観
 前時までに,円と直線・円と接線において,直線と円の位置関係について学習している。
本時では,2つの円の位置関係が5つに類別されることを,理解させ,類別したそれぞれの位置関係の半径の長さと中心間の距離の関係を調べていく。学習の流れは次の通りである。
@2つの円の位置関係を学習プリントに書いて考える。
A2つの円の学習ソフトによって視覚的に考察し,5つに類別されることを理解する。
B外接する場合と内接する場合の距離を計算する。
C外接・内接を基準として残りの離れている場合,交わっている場合,内部にある場合を考察させ式化させる。
ここでは,学習プリントとそれに沿った学習ソフトを活用することにより,円を動かすことで,視覚的にとらえさせ,理解を助ける。最後に,ドリル型学習ソフトにより,個々の理解に応じた速度で練習問題を解かせ,本時学習内容の定着を図る。
従来,中学校の指導においては,教師指導中心の授業になりがちで,生徒の主体的な学習が成立しにくい仰向にあった。今回生徒一人一人が課題をもって,パソコンを操作し,何度も練り返し視覚を通して学晋内容を確認・理解することができれば生徒に興味・関心をもたせることができ,主体的な学習活動が支援できると考える。

7 主眼
○2つの円の位置関係を5つに類別し,それぞれの場合の半径r,r’の長さと中心間の距離dの関係を理解させる。

8 準備
 ・学習プリント・・別紙参照
 ・自作シミュレーション型学習ソフト「2つの円の関係」
 ・図形シミュレーション型学習ソフト1組(東京書籍)